数学ができるようになるためには、2つ必要な要素があります。
それは、「計算力」と「解法の知識」です。
今日は計算のお話。
生徒の計算過程を見ていると「煩わしい計算してえんじゃねぇ!!」と矢島金太郎ばりに叫びたくなるのですが…。
冗談はさておき、この計算どう解きますか?
問題1
まあ、よくある二次方程式の計算問題です。
多分、みんながこう考えるはず。
方程式というのは、=(イコール)の左側(左辺)と右側(右辺)に同じ操作をするのであれば何をしたっていいわけです。
今回であれば、「両辺を2で割る」という操作。
そのために、左辺の共通因数として2があることに気づければ、簡単な方程式に変形することが可能なわけです。このくらいの式であれば、おそらく誰でも気づけます。
では次の問題はどうでしょう?
問題2
問題1よりも複雑です。左辺が因数分解された式になっていますが、二次方程式の問題です。
このような式を見ると、多くの中学生は脳内の自動制御装置が作動し、思考することをやめます。
そうです、ゴリ押しで展開(カッコをはずす)し始めるのです。
中学生用の教材にもそのような解答が載っていることもよくあります。
そのような解答がこちら
手間も多ければ、無駄も多く、計算ミスのリスクも多い
この解法の問題点は、
係数(文字にかかっている数字)に分数を含む状態で展開(文字式のかけ算)をすることです。
計算ミスの元ですし、④にあるように結局分数を含まない式に直す手間まで必要とすることです。
しかも、最終的に因数分解し直すという…。
そして、貴重な時間をかけるだけかけた挙句間違えます。
教材にある解答は仕方ないのです。ページ数にも限りがありますし、一般的な(誰でも見ればわかる)解答を載せざるを得ないので。
こう解けるようになってほしい
計算の手間が少ないですよね
とりあえず、分数は真っ先にくくり出した方がいいです。
くくり出してみれば、残った式の 9ーx からマイナスをくくり出せば、さらに式を綺麗にすることができることには気付けるかと思います。
展開の必要すらないことに気付けます。
このような数字の設定になっている問題は非常に多いです。
説明上、①②③と段階を分けましたが、実際に計算するときは、①が終われば残りはほぼ同時に頭の中で完結する手順だと思います。
最初は基本通りに教えますし、解くでしょう。しかし…
最初に基礎として習った解法が、実際に試験場で選択するべき解法ではないこと
ということが往々にしてあります。数学では。
知っていないと手間・時間がかかって仕方がない。そういうことがたくさんあるのです。
今、「できればなんでもいい」「答えに辿り着ければ一緒」と考えている人は「高い確率で計算ミスをするリスク」を受け入れるのですね。
その2点、3点に泣きますよ。
受験って「2点足らなくて落ちた」というのがよくあります。
私は、弟がいるのですが、大学受験でそのレベルの点差で関西大学に落ちたそうです。
昔、同じ塾で勤めていた講師の一人は、2点足らずで京都大学に落ちたと言っていました。
もちろん、この2人はそのような横着をしていたわけではないでしょうが、普段の勉強から工夫をしないというのは、可能性を狭めることになります。
とはいえ、解答まで辿り着く力強さも必要
教室で生徒が今回のようなよくない解き方をしていたら、とりあえずは見守ります。
試験では自分の知らない問題が出ることもありますし、簡単な方法って知っててもその時には気付けないこともありますから、そういう力強さも必要です。
解き終わったら「そろそろなれてきたから、次からはこう解いてみよう」と丁寧に教えます。
知らんものは知らんのです。知っていることの中から一番いい方法で答えを出すしかありませんから、最初は仕方ない。
私は、同じ問題をあえて解かせることも多いです。そういう、「引き出し」を増やしていただくことも勉強ですから。
最後に
頭で計算をしながらワードで数式を打つという「計算ミスのリスク」を伴いながら記事を作成しました。チェックしても心配です。
学生諸君は、勉強するときは集中して丁寧にしましょう。
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